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月刊誌「潮」で好評連載中の「羅什―クマーラジーヴァ」が待望の単行本化。
釈尊の究極の教え≪法華経≫を中国へ伝えた、「名翻訳家」がいた――
その人の名は、鳩摩羅什。渾身の歴史ファンタジーロマン!
【ストーリー】
テレビ番組制作会社のカメラマン、東太郎(あずまたろう)はシルクロードの取材旅行中に砂嵐に遭う。
太郎はそのまま取材を強行しようと車外に出るが、「羅什」という人物を狙う謎の一軍に遭遇、混乱状態のなか、青年僧に救われる。しかし、嵐のあとに太郎が目にしたのは、事故により大破した仲間の車だった。
帰国後、制作会社は解散。失意のなか、親のように慕っていた上司・北条の遺品を整理する太郎が手にした書物には、シルクロードの砂嵐のなかで出会った僧侶と思われる記述が。
その後、太郎は何度も不思議な光景を見る。
遠い亀玆(きじ)国と呼ばれる国で、耆婆(ぎば)という女性が出産をしていた。鳩摩羅什(くまらじゅう)と呼ばれる運命の子。そして、なぜかその子を抱こうともしない母の姿・・・。
そんな太郎のもとを訪れたのが、アイドル歌手のCOCO(ココ)だった。事故の唯一の生き残りである太郎を探していた彼女は、太郎に鳩摩羅什の思いをキャッチする能力があるといい、かつて羅什の生きた地をふたたび訪ねようと太郎に提案する。
亡き恩師・北条への想いと、COCOとの楽しい旅路への淡い期待を胸に、太郎は飛行機に乗り、クチャ(かつての亀玆国)の地に向かう。
日本から遠くはなれたシルクロードの地で、太郎とCOCOはついに時空をも超えて鳩摩羅什の世界と「交信」をはじめる。
生まれながらに「破戒僧の子」という十字架を背負わされた鳩摩羅什と、みずからの生い立ちを重ね合わせる太郎。COCOの純真な心にも励まされ、太郎は次第に羅什との出会いをとおして「自分を変えたい」と願うようになるのだった。
仏教経典の名漢訳者として知られる鳩摩羅什をめぐって、現在と過去が交差する壮大な歴史ファンタジーロマンの旅へ―。
第1話 運命の砂嵐
第2話 誕生
第3話 COCOと太郎
第4話 母の愛
第5話 トリップ
第6話 トリップ、そして・・・
第7話 羅什王子
第8話 おばばの予言
第9話 破戒僧の子